【個人事業主向け】国民健康保険料を安くするための3つの方法を紹介
国民健康保険料、高っ! なんでこんな高いんや…
もう少し安くなりませんかね…
そこでこの記事では
- 国民健康保険料を安くするための3つ方法
- 国民健康保険料の構成
- 国民健康保険料の計算の仕組み
- 国民健康保険料(所得割額)の算定のもととなる所得
などを、ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、10年以上行政書士として個人事業主を続けているわたしがご説明します。
【結論】国民健康保険料を安くするための3つの方法
- 経費を最大限計上する
- 65万円の青色申告特別控除を受ける
- 配偶者等に青色事業専従者給与を支払う
国民健康保険料を安くするためには、上記2と3を見ればわかる通り、青色申告することが前提です。
詳しくは後ほどご説明します。
まずは、国民健康保険料の金額がどのように決まるか見ていきましょう。
国民健康保険料⇒「医療分保険料」+「後期高齢者支援金分保険料」+「介護分保険料」
国民健康保険料は下記3つの保険料で構成されています。
- 医療分保険料
- 後期高齢者支援金分保険料
- 介護分保険料 ※40歳から64歳までの被保険者のみ支払う
【用語の説明】
- 医療分保険料
-
病気やケガをしたときの医療費の財源となる保険料
- 後期高齢者支援金分保険料
-
後期高齢者医療制度を支えるための財源となる保険料
- 介護分保険料
-
介護保険制度を支えるための財源となる保険料
国民健康保険料の計算
国民健康保険料は上記3つ(医療分保険料、後期高齢者支援金分保険料、介護分保険料)で構成されていると書きました。
そして、それぞれの保険料は下記の計算式で算出されます(3方式の場合)。
- 医療分保険料=所得割額+均等割額+平等割額
- 後期高齢者支援金分保険料=所得割額+均等割額+平等割額
- 介護分保険料=所得割額+均等割額+平等割額
【各種保険料の金額】
- 所得割額
-
被保険者の所得に応じて決まります。
被保険者ごとに、所得金額の合計から基礎控除43万円(※)を引いた額に一定の料率をかけて算出します。
- 所得割額=所得金額の合計-43万円×○%
※2024年12月時点。
※基礎控除額は地方税法第314条の2第2項で定められております。
- 均等割額
-
被保険者1人あたりいくら、と決められています。
- 平等割額
-
1世帯あたりいくら、と決められています。
国民健康保険料は市区町村ごとに異なる
国民健康保険の基本的な仕組みはどこの市区町村でも同じですが、下記のような点で市区町村ごとに異なります。
- 保険料の計算の仕方
- 所得割額の料率
- 均等割額や平等割額の金額
保険料の計算の仕方に関して、上記では3方式(所得割額、均等割額、平等割額)をご紹介しましたが、他にも2方式(所得割額、均等割額)や4方式(所得割額、資産割額、均等割額、平等割額)で保険料を計算している市区町村もあります。
(参照)厚生労働省
2024年12月11日に「国民健康保険料 算定の仕組み」という文言でネット検索して1ページ目に出てきた市区町村(江戸川区、金沢市、茅ヶ崎市、横浜市、東大阪市、大阪市、江東区)を見てみましたが、3方式で計算している市区町村が多かったです。
国民健康保険料(所得割額)の算定のもととなる所得とは?
確定申告書で言うと、下記の金額(赤の四角で囲った部分)になります(分離課税所得が無い場合に限る)。
国民健康保険料(所得割額)の算定のもととなる所得には、事業所得、不動産所得など、多くの所得が含まれます。
一方で、非課税所得(障害年金、遺族年金、雇用保険の失業手当など)、退職所得(年金として受け取る場合を除く)は含まれません。
国民健康保険料の算定に、所得税法上の所得控除は関係ない
所得税を計算する際に適用される各種所得控除は、国民健康保険料の算定には関係ありません。
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除 など
確定申告書で言うと、こちらの部分(橙色の四角で囲った部分)ですね▼
国民健康保険料を安くするには⇒所得を減らすしかない
上記で、国民健康保険料は「医療分保険料」、「後期高齢者支援金分保険料」、「介護分保険料」の3つで構成されており、それぞれの保険料は下記の計算式で算出されるとご紹介しました。
所得割額+均等割額+平等割額 ※3方式の場合
この3つの金額の中で、均等割額と平等割額は「1人あたりいくら」「1世帯当たりいくら」と決まっておりますので、この数字を動かすことはできません。
唯一動かすことができるのは、所得割額だけです。
所得割額の算定のもととなる所得を減らせば、所得割額も下がるということになります。
冒頭でご紹介した「国民健康保険料を安くするための3つの方法」は、そのための手段ということです。
【再度、結論】国民健康保険料を安くするための3つの方法
- 経費を最大限計上する
- 65万円の青色申告特別控除を受ける
- 配偶者等に青色事業専従者給与を支払う
これらはすべて、確定申告書作成の前の決算書を作成する段階で意識しなければならない数字になります。
- 経費(赤の四角で囲った部分)▼
- 専従者給与(橙色の四角で囲った部分)▼
- 青色申告特別控除(青の四角で囲った部分)▼
それでは、それぞれどのようにしたらよいのか詳しく見ていきましょう。
※冒頭でもご紹介しましたが、青色申告することが前提となっております。
(1)経費を最大限計上する
国民健康保険料(所得割額)を安くするためには所得を減らさなければなりません。
そのためには、経費を適切に最大限計上することが必要です。
経費を最大限計上すると言っても、不正な経費計上はいけません。
適切に行う必要があります。
適切に行うためには下記ページでご紹介している本などが役に立ちます。
(2)65万円の青色申告特別控除を受ける
国民健康保険料を安くするためには青色申告特別控除を受けて所得を減らすことが必要です。
青色申告特別控除には「65万円」「55万円」「10万円」の3タイプありますが、かならず「65万円」の青色申告特別控除を受けるようにしましょう。
そのためにはいくつか条件がありますが、そのあたりについては下記ページでご紹介している内容が役に立ちます。
(3)配偶者等に青色事業専従者給与を支払う
配偶者と一緒に事業を行っている個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
国民健康保険料を安くするためには、その配偶者に給与を支払うのも有効です。
たとえば、国民健康保険料を安くするためだけの観点から言うと、配偶者の給与を98万円とすると、国民健康保険の保険料(所得割額)算定上、世帯全体で見た場合、最大限安くすることができます。
98万円(配偶者の給与)-55万円(給与所得控除)-43万円(国民健康保険料(所得割額)算定上の基礎控除)=0
国民健康保険料(所得割額)算定上、配偶者には所得がないことになります▲
給与を支払うことによって、配偶者側で給与所得控除が発生する点が大きいね
この場合、個人事業主本人から98万円、経費で所得が減ることになり、世帯全体で見た場合も、98万円の所得が無くなることになります。
配偶者に98万円より多くの給与を支払う場合は、国民健康保険料(所得割額)の算定上としては、世帯全体としての保険料に変化はないことになります。
98万円より多く払った分については配偶者分に所得として数字が残り、そこに所得割額がかかってくることになるからです(所得割額は被保険者1人ごとに算出される)。
【わたしの場合】
ちなみにわたしの場合は、もう少し余裕をとって、配偶者の給与を年間96万円(月8万円)にしております。
こうすることにより、配偶者には所得税、住民税(均等割、所得割)も発生しませんし、所得税の源泉徴収もしなくていい金額のため手続き的にもラクでちょうどいいかな~と思っております。
2024年12月現在、年収「103万円の壁」など、税や社会保険に関するさまざまな壁の金額に関する議論がなされておりますが、それに応じて、わたしも配偶者に支払う給与の額を変化させていこうと考えております。
まとめ
いかがでしたか。
国民健康保険料を安くするための方法は下記の3つです。
- 経費を最大限計上する
- 65万円の青色申告特別控除を受ける
- 配偶者等に青色事業専従者給与を支払う
別に何か特別な方法というものでもなく、制度によって定められたフツーの方法です。
でも、そこを意識しましょうということです。
なにも考えずただ一生懸命働いて、大量の税金や国民健康保険料がとられ手元にお金が全然残らないようでは悲しいです。
当たり前のことを当たり前にやって、ぜひ手元に多くのお金が残るようにしましょう。
不安な場合などは税理士に相談を
税金や上記でご紹介した国民健康保険料を安くするためには税務に関する知識が必要になります。
また、そのための手間もかかります。
- 税金のことはよくわからない…
- 誰かに相談したい…
- 面倒なことはお任せしたい…
そのような方は税理士に相談するのがおすすめです。
- そんな…税理士の知り合いなんていないよ…
- 税理士だって色々いるのに…どの税理士に頼めばいいんだろう…
そんな方は下記のような税理士紹介サービスを利用するのもひとつです。