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行政手続法|行政書士の仕事とかかわりが深い部分をわかりやすく解説

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「行政手続法? なにそれ?」

行政手続法を知っていると、行政書士の普段の仕事がちょっと進めやすくなるかもしれません。

そこで、この記事では

この記事の内容
  • 行政手続法ってなに?
  • 行政手続法の規制対象となる行政の活動
  • 行政書士の普段の仕事と特にかかわりが深い部分(申請に対する処分、届出)
  • 行政手続法が適用されない範囲(適用除外)

などを、10年以上行政書士を続けているわたしがご説明します。

行政書士とかではない一般の人も知っておいたら役に立つかもね

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行政手続法とは?⇒行政活動のルールを定めて、国民の権利利益を保護するための法律

それでは、まずは行政手続法とはどんな法律か、さらっと見てみましょう。

行政手続法は、下記のための法律です▼

  • 行政運営における公正の確保と透明性の向上を図る
  • それによって、国民の権利利益を保護する

この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

行政手続法 第1条(目的等) 第1項

行政手続法の規制対象となる行政活動

行政手続法の規制対象となる行政機関の活動は下記の4つです▼

  1. 処分
  2. 行政指導
  3. 届出
  4. 命令等を定める手続き

上記4つの行政活動について、行政手続法によっていろいろなルールが定められています。

行政書士は普段役所に行って手続きすることがメインなので、行政書士の仕事とかかわりが深いのは主に1(処分)と3(届出)です。

行政活動の種類はほかにもありますが、行政手続法の規制対象となるのは上記の4つだけです。

「処分」は2種類ある⇒「申請に対する処分」と「不利益処分」

行政手続法は下記2つの処分について定めています。

  • 申請に対する処分
  • 不利益処分

行政書士の普段の仕事とかかわりが深いのは「申請に対する処分」です。

さて、いよいよ次から行政書士の普段の仕事と特にかかわりが深い

  • 申請に対する処分
  • 届出

について見ていきましょう。

「申請に対する処分」5つのルール

行政書士の普段の仕事に特にかかわりが深い下記5つについてご紹介します。

  1. 審査基準
  2. 標準処理期間
  3. 申請に対する審査、応答
  4. 理由の提示
  5. 情報の提供

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

(1)審査基準

行政庁は、審査基準を定めるものとする。

2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。

行政手続法 第5条(審査基準)

「審査基準」とは、簡単に言うと「どうしたら許認可等がとれるか?」という基準です。

それに関して上記の3つのルールが定められています。

(2)標準処理期間

行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

行政手続法 第6条(標準処理期間)

「標準処理期間」とは、簡単に言うと「申請から結論が出るまでの期間」です。

「どれぐらいかかんのか~?」ということですよね。

役所はそのような期間を

  • 定めるよう努力して(←こちらは努力義務)
  • 定めた場合は適当な方法で公表しなければならない(←こちらは義務)

ということです。

期間の起算点は「到達」であり、「受理」ではありません。

(3)申請に対する審査、応答

行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

行政手続法 第7条(申請に対する審査、応答)
ポイント
  • 申請が提出先に届いたら、役所は遅滞なく審査を開始しなければならない
  • 不備などがある場合は速やかに補正を求めるか、申請の拒否をしなければならない

申請があれば役所は上記の対応をしなければなりませんので、下記のことは許されません。

役所のNG行為
  • 申請を受け取らない
  • 受け取っても放置しておく
  • 申請書を返却する(補正のための返却を除く) など

審査の開始は「事務所に到達したとき」であって「受理」ではない点もポイントです。申請書類が提出先に届けばよく、役所の人間による受取は関係ないということですね。

【言葉の意味】

Q
補正

足りないところを補って、誤りを正すこと

Q
遅滞なく

事情の許す限り(できるだけ)はやく

Q
速やかに

可能な限りはやく

(4)理由の提示

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。

2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

行政手続法 第8条(理由の提示)
ポイント
  • 申請を拒否する場合は、役所はその理由を示さなければならい
  • 拒否する理由が明らかなときは、申請者の求めがあった場合に示せば足りる
  • 拒否する処分を書面でするときは、理由も書面で示さなければならない

このルールがあるおかげで▼

  • 理由を示さなければならないので、役所は慎重な審査をするようになる
  • 再申請をするときにどこをどう直せばよいのかわかる
  • 理由が不当なときは訴訟を提起するなどの場合に争点が明らかとなる

(5)情報の提供

行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。

2 行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。

行政手続法 第9条(情報の提供)

役所には上記2つのことに関する義務があります。

両方とも努力義務ですが…

【ショートストーリー】運輸支局でのこと▼

ねぇ、あとどれぐらいで車検証でる?

番号呼ばれるまでお待ちください

あと何分ぐらいか聞いてるんだけど?

わかりません(そっけない態度)

行政手続法で、「役所は申請に関する審査の進行状況や処分の時期の見通しについて示さなければならない」っていう規定があんだけど

ああ…ごめんなさい あと10分ぐらいです

よかった 「努力義務でしょ」って言われなくて

※あくまで一例です

こちらにも関連記事あります▼

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「届出」に関するルール

届出に関するルールはこれ一つしかありません▼

届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。

行政手続法 第37条(届出)

こちらも、上記「(3)申請に対する審査、応答」のところで説明したように、届出書類が「事務所に到達」すればよく、役所の人間による受取は関係ないということですね(「受理」ではないから)。

届けば完了ということです。

「役所が預かる」と言ったことは許されません

届出は基本的に「形式上の要件を満たす書類が正しい提出先に届けば完了」ですが、その届出内容に疑義などがある場合には即座に完了ということにはなりません。

実際に、車庫の届出なんかでも、届出(書類提出)しても、あとから警察から問い合わせの電話がかかってくることがあります。

ここまでが、行政書士の仕事と特にかかわりが深い部分についての説明でした。

行政手続法が適用されない範囲(適用除外)

行政手続法が適用されない行政分野もあります。

詳しくは下記ページをご覧ください。

こちらのページを見てね▼

(参照)総務省

行政書士の普段の仕事にはあんまり関係しないものが多いですが、「外国人の出入国、難民の認定などに関する処分や行政指導」については関係する分野です。

地方公共団体の活動は条例で規制される

さきほどの総務省のページにも書いてありますが、地方公共団体の下記活動には行政手続法は適用されません。

  • 地方公共団体の機関がする処分のうち、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているもの
  • 地方公共団体のする行政指導
  • 地方公共団体の機関に対する届出のうち、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているもの
  • 地方公共団体の機関が命令等を定める行為

条例・規則とも、地方公共団体が定めるの独自のルールです。条例は地方公共団体の議会が定めるもの、規則は地方公共団体の長が定めるものです。

上記の活動は、行政手続法の代わりに条例によって規制されています。

ほとんどの地方公共団体は、「行政手続条例」のような条例を定めています。

地方公共団体は、第三条第三項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

行政手続法 第46条(地方公共団体の措置)

「○○県 行政手続条例」「○○市 行政手続条例」などと検索すると出てきますので、確認してみましょう。

行政指導の基礎知識

行政書士の仕事とわりとかかわりのある部分もありますので、一部見ていきます。

まずは、行政指導とは何なのか見ていきましょう。

普段生活しててもあんまり聞かない言葉ですもんね。

行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

行政手続法 第2条(定義) 第6号

【言葉の意味】

Q
作為

ある行為をするように

Q
不作為

ある行為をしないように

行政指導に強制力はない

行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。

2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

行政手続法 第32条(行政指導の一般原則)
ポイント
  • 行政指導は役所の任務や所管する事務の範囲を超えてはならない
  • 行政指導は相手方の任意の協力が前提である
  • 行政指導に従わない場合でも、役所はそれを理由に不利益な扱いをしてはならない

わたしの経験上、役所はときどき法令の要件とは関係ないことを要求するような場面もあると感じております。

些細なことならいいですが、度を超えたものにはこちらも黙っていないで反論してもいいでしょう。

申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

行政手続法 第33条(申請に関連する行政指導)

申請者の申請の意思が明らかになったときは、役所はそれを邪魔してはいけません。

これにより、ちょっと無理がありそうな申請でもイチかバチかしてみることができますね。

してみることによって、もしかしたら許認可が取得できるかもしれませんし、できなくても、なにが足らなかったのか知ることができます(今後につなげられる可能性)。

でも、イチかバチかやるときには、事前に依頼元に「ムリかも」と伝えたうえで、了承をもらってからやった方がいいでしょう(報酬や法定手数料等がかかるため)。

参照リンク

上記で行政書士の仕事にかかわりの深い部分についてご紹介してきました。

ただ、ご紹介してきたのは行政手続法の一部分になりますので、あわせて下記のページも見てみてください。

こちらも見てね▼

特に総務省のページが分かりやすくておすすめです。

行政手続法に関する理解を深めることができます。

まとめ⇒行政手続法を意識して仕事をしよう

いかがでしたか。

この記事では行政手続法のポイントについてご紹介してきました。

ポイント
  • 行政手続法とは、行政活動のルールを定めて、国民の権利利益を保護するための法律
  • 行政書士の普段の仕事と特にかかわりが深い部分は「申請に対する処分」と「届出」
  • 行政手続法には適用除外規定がある
  • 地方公共団体には条例で同じようなルールが定められている
  • 行政指導に強制力はない
「申請に対する処分」5つのルール
  1. 審査基準
  2. 標準処理期間
  3. 申請に対する審査、応答
  4. 理由の提示
  5. 情報の提供

行政手続法を意識して仕事をすることにより、日々の仕事がちょっとスムーズに進んだり、一見「ムリそうかな」という許認可申請もうまくいく可能性が出てくるかもしれません。

上手に活用しましょう。

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あぼかど
あぼかど
行政書士など
「会社員しててもちっとも自分の思うように働けない!いろいろ理不尽なことも多いし!!」そこで発想を転換。

会社員人生に見切りをつけ、2003年に「行政書士になること」を決意。約1年間の勉強(独学)の末、翌年の試験に一発合格。2010年代はじめあたりに行政書士で独立開業。

現在は主に行政書士業のほか、大家業や投資からの配当金などにて生計を立てている。
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