行政書士の仕事|適切に業務を行うために守らなければならない16の義務
世の中には守らなければならないさまざまなルールがあります。
行政書士の仕事もまたしかり。
そこで、この記事では
行政書士が守らなければならない、さまざまな義務
- 行政書士事務所に関するもの5つ
- 行政書士の仕事に関するもの11
について、10年以上行政書士を続けているわたしがご紹介します。
- 行政書士の仕事に興味がある方 ⇒ へぇ~、そんな義務があるんだ
- すでに行政書士の資格を取得済みであり、開業を視野に入れている方 ⇒ 実際に開業する準備
という感じで、読み進めていただければ幸いです。
行政書士事務所に関する義務
まずは「行政書士事務所に関する義務」からご紹介していきます。
- 行政書士事務所の設置義務
- 帳簿の備付・保存義務
- 報酬額の掲示義務
- 事務所の表札の設置義務
- 職印に関する義務
ひとつずつ見ていきます。
(1)行政書士事務所の設置義務
行政書士(行政書士の使用人である行政書士又は行政書士法人の社員若しくは使用人である行政書士(第三項において「使用人である行政書士等」という。)を除く。次項、次条、第十条の二及び第十一条において同じ。)は、その業務を行うための事務所を設けなければならない。
2 行政書士は、前項の事務所を二以上設けてはならない。
3 使用人である行政書士等は、その業務を行うための事務所を設けてはならない。
- 行政書士として開業する際には、その業務を行うための事務所が必要
- 事務所は一人につき一つ
- 使用人である行政書士や行政書士法人の社員・使用人である行政書士は事務所を設けてはならない
(2)帳簿の備付・保存義務
帳簿の備付・保存義務や関連するお役立ち情報などは下記ページでまとめております。
(3)報酬額の掲示義務
報酬額の掲示義務や関連するお役立ち情報などは下記ページでまとめております。
(4)事務所の表札の設置義務
事務所の表札の設置義務や関連するお役立ち情報などは下記ページでまとめております。
(5)職印に関する義務
職印に関する義務や関連するお役立ち情報などは下記ページでまとめております。
ここまでが「行政書士事務所に関する義務」の説明でした。
お次は「行政書士の業務上の義務」と題して、ご紹介していきます。
行政書士の業務上の義務
- 行政書士の一般的義務
- 依頼に応じる義務
- 秘密を守る義務
- 自己処理義務
- 補助者に関する義務
- 業務の順序・迅速処理の義務
- 書類作成上の義務
- 領収証に関する義務
- 会則の遵守義務
- 研修を受ける努力義務
- 届出義務
ひとつずつ見ていきます。
(1)行政書士の一般的義務
行政書士は、誠実にその業務を行なうとともに、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
行政書士は、その業務を行うに当つては、公正でなければならず、親切丁寧を旨としなければならない。
2 行政書士は、不正又は不当な手段で、依頼を誘致するような行為をしてはならない。
上記はなにかを具体的に定めたものではなく、仕事をする上での一般的な姿勢などを表現したものですね。
ま、普通に仕事をしていれば特に意識する必要はないかと
(2)依頼に応じる義務
行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
行政書士は、正当な事由がある場合において依頼を拒むときは、その事由を説明しなければならない。この場合において依頼人から請求があるときは、その事由を記載した文書を交付しなければならない。
- 行政書士は基本、仕事を受けなければならない
- 断る場合は、理由を説明しなければならない
- 断る理由について、依頼人から請求されたときは、その理由を記載した文書を交付しなければならない
文書の交付は、請求が無ければ不要ということだね
わたしは10年以上仕事をしてきてるけど、一度も言われたことはないね
(3)秘密を守る義務
行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。
いわゆる「守秘義務」ですね。
- 依頼人が秘密の公表に同意したような場合には、この義務は免れることになる
- 行政書士を辞めたあとも、この義務は継続する
(4)自己処理義務
行政書士は、その業務を他人に行わせてはならない。ただし、その使用人その他の従業者である行政書士(以下この条において「従業者である行政書士」という。)に行わせる場合又は依頼人の同意を得て、他の行政書士(従業者である行政書士を除く。)若しくは行政書士法人に行わせる場合は、この限りでない。
業務を行うことについては
行政書士は、その業務を他人にさせてはならない。
例外として
- 自分の使用人等である行政書士
- 依頼人の同意を得て、(自分の使用人等である行政書士ではない)ほかの行政書士や行政書士法人
に、おこなわせることができる。
(5)補助者に関する義務
行政書士は、その事務に関して補助者を置くことができる。
2 行政書士は、前項の補助者を置いたとき又は前項の補助者に異動があつたときは、遅滞なく、その者の住所及び氏名を行政書士会に届け出なければならない。補助者を置かなくなつたときも、また同様とする。
行政書士は補助者を置くことができますが、その補助者に関する義務です。
- 補助者を置いたとき
- 補助者に異動があったとき
- 補助者を置かなくなったとき
は、遅滞なく、その者の住所・氏名を行政書士会に届け出なければなりません。
届出先は、行政書士が所属する行政書士会に対して行う
(6)業務の順序・迅速処理の義務
行政書士は、正当な事由がない限り、依頼の順序に従つて、すみやかにその業務を処理しなければならない。
一見、このような当たり前に思えることも、法令にしっかり書かれているのですね。
正当な理由があれば、必ずしも依頼の順序に従う必要はない
(7)書類作成上の義務
行政書士は、依頼人の依頼しない書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含む。第九条第一項において同じ。)を作成して報酬を受け、又はみだりに報酬の増加を図るような行為をしてはならない。
書いてある通りですね。
行政書士は必要のない書類を作成したりして、お客さんから過大に報酬を受け取ってはならないということです。
行政書士は、法令又は依頼の趣旨に反する書類を作成してはならない。
2 行政書士は、作成した書類に記名して職印を押さなければならない。
こちらも、第1項には当たり前のことが書いてあります。
第2項の義務については、こちら▼でくわしくご紹介しております。
(8)領収証に関する義務
領収証に関する義務や関連するお役立ち情報などは下記ページでまとめております。
(9)会則の遵守義務
行政書士は、その所属する行政書士会及び日本行政書士会連合会の会則を守らなければならない。
法令だけでなく、会のルールもしっかり守らなければなりません。
(10)研修を受ける努力義務
行政書士は、その所属する行政書士会及び日本行政書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。
こちらは努力義務ですね。
「できるだけやりましょう」ということです。
(11)届出義務
行政書士が、第一号又は第二号に該当する場合にはその者、第三号に該当する場合にはその者の四親等内の親族又はその者と世帯を同じくしていた者は、遅滞なく、その旨を、当該行政書士の事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に届け出なければならない。
一 法第二条の二第二号から第四号まで又は第六号から第八号までに掲げる事由のいずれかに該当するに至つたとき。
二 その業を廃止しようとするとき。
三 死亡したとき。
- 第一号、第二号 ⇒ 行政書士本人
- 第三号 ⇒ 死亡した行政書士の4親等内の親族、または死亡した行政書士と世帯を同じくしていた者
上記いずれの場合も、行政書士の所属する行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に対して行う
第一号の「法第二条の二第二号から第四号まで又は第六号から第八号までに掲げる事由」という部分は、行政書士法で定められている「欠格事由」に該当する部分になります。
欠格事由に該当するに至ったときは、行政書士でいることはできません。
まとめ
いかがでしたか。
おさらいです。
行政書士には下記のような義務があります。
- 行政書士事務所の設置義務
- 帳簿の備付・保存義務
- 報酬額の掲示義務
- 事務所の表札の設置義務
- 職印に関する義務
- 行政書士の一般的義務
- 依頼に応じる義務
- 秘密を守る義務
- 自己処理義務
- 補助者に関する義務
- 業務取扱の順序・迅速処理
- 書類作成上の義務
- 領収証に関する義務
- 会則の遵守義務
- 研修を受ける努力義務
- 届出義務
上記の中には、違反すると罰則の適用が定められているものもあります。
罰則についても行政書士法で定められておりますので、興味のある方は見てみてください。