【行政書士の報酬額】相場、決め方、もらうタイミングも合わせて解説
「報酬額はどのように決めたらよいか?また、いつ受け取ったらよいか?」
開業したての新人行政書士は迷うところですよね?
わたしもそうでした。
未経験だから、業務のことだけでなく、こういうこともわかんないよね・・・
そのあたりを、10年以上行政書士を続けているわたしが、自身の経験をもとにご説明します。
報酬額統計調査(日本行政書士会連合会)
決め方などをご説明する前に、日本行政書士会連合会では5年ごとに、全国的な報酬額統計調査を行っています。
そして、それは公表もされております。
行政書士会及び日本行政書士会連合会は、依頼者の選択及び行政書士の業務の利便に資するため、行政書士がその業務に関し受ける報酬の額について、統計を作成し、これを公表するよう努めなければならない。
報酬額統計表の閲覧・ダウンロード
上記の報酬額統計調査の結果はこちらのページ(日本行政書士会連合会)で閲覧・ダウンロードできます。
報酬額の決め方(4つのポイント)
それでは報酬額の決め方の話に行きましょう。
- できるだけ高めに設定する
- 日本行政書士会連合会の報酬額統計調査を参考にする
- 安易にゲキ安価格に設定しない
- 開業記念で最初だけ安くするのはアリ
ひとつずつ見ていきます。
(1)できるだけ高めに設定する
一度設定した報酬額を下げることは簡単ですが、上げることは難しいです。
なので、安易に安い金額に設定しないようにしましょう。
以下のことを行い、できるだけ高めに設定するようにしましょう。
ヤフーなどの検索画面で「○○(自分の地域名) ○○○○(取扱業務)」で検索する
検索結果に出てきた同業他社のホームページに掲載されている金額を調査・比較する
できるだけ高めに設定する
自分が開業したての新人だからといって遠慮する必要はありません。
事前にしっかりと勉強し、ホームページの中身を充実させておきましょう。
そうすることで、ネット上では一般のお客さまからは専門家として見られます。
そうすると、あえて自分から報酬を低く設定する必要もなくなります。
また、新人の頃は仕事も少ないですから、あんまり報酬を低くしすぎると、そもそも仕事を続けていくことが難しくなってしまいます。
ぜひ、事前にしっかりと勉強しておき、お客さまからの問い合わせに備えておきましょう。
業務経験のない新人は事前の徹底した勉強でカバーするしかありません。
(2)日本行政書士会連合会の報酬額統計調査を参考にする
上記でご紹介したように、日本行政書士会連合会では5年ごとに全国的な報酬額統計調査を行っております。
報酬額の設定に迷う場合は、そのデータもあわせて活用してもよいかもしれません。
ただし、これに縛られる必要はありません。
あくまで一つの参考です。
(3)安易にゲキ安価格に設定しない
仕事が欲しいばかりに、安易にゲキ安価格に設定することはお勧めできません。
自分の首を絞めることになります。
忙しいけど儲からない状態になってしまいます。
また、業界全体の評価にまで影響を及ぼしかねません。
そうなると、他の行政書士にも迷惑がかかってしまいます。
(4)開業記念で最初だけ安くするのはアリ
「開業記念で最初の○名さままで○○円!」などというように最初だけ安く業務を請け負うことはアリかもしれません。
しかし、しばらくやったら通常の値段に戻すようにしましょう。
報酬などをもらうタイミング
それぞれの事務所で違うと思いますが、わたしは下記のようなポイントを考慮して決めております。
- 業務はなにか?
- お客さまが個人か法人かどうか?
- 報酬や公的費用の額はどれぐらいか?
- 付き合いの長さ
わたしの場合(業務別)
業務別にご紹介します。
ひとつの参考にしてください。
- お客さまが個人か法人かにかかわらず、業務着手前に、報酬の半額と公的費用をいただく
- 業務完了後、残りの報酬の半額をいただいたのち、完成品の引き渡し
- お客さまが法人の場合、原則あと払い(手続きや完成品の引き渡し後、銀行振込)。公的費用が高額な場合は事前に振り込んでもらうこともある
- お客さまが個人の場合、原則、完成品の引き渡し前にいただく(手続きは先に実施)。公的費用が高額な場合は、手続きをする前に全額(報酬、公的費用など)いただく
- 業務着手前に、すべて(報酬、公的費用など)いただく
- お客さまが個人か法人かにかかわらず、業務着手前に報酬(定額の着手金)をいただく
- 融資成功後、成功報酬(融資金額の○%)をいただく
上記が、わたしのなかでの業務別の報酬や公的費用を受け取るタイミングになります。
別に決まりがあるわけではありませんので、上記などを参考にしつつ、みなさん各自で決めていかれればよろしいかと思います。
大事なことは、「業務が完了したのにお金がもらえない!」という状況を避けることです。
そのためにはどのようにしたらよいか、あらかじめ検討しておきましょう。
必要に応じて契約書を作成する
わたしは仕事を受ける際、基本的には事前に契約書(行政書士業務委任契約書)を作成したりはしません。
かかる費用などについて、事前に口頭で伝えるだけです。
しかし、創業融資サポート業務の依頼を受ける時だけは、事前に契約書をお客さまと交わしております。
理由は下記のとおりです。
- お客さまは個人(または法人を設立したばかり)の方がほとんどであること
- 成功報酬があと払い(業務完了後)であること
- 成功報酬の金額(融資金額の○%)を確定させるために、融資を受けた金額が分かるものを見せてもらう必要があること
業務が完了した後に、お客さまに費用の振込などをしてもらわなければなりません。
お客さまにやってもらうことがあるわけです。
それを確実に行ってもらうために、事前に双方で確認し、証拠として書面に残しておくのです。
もし、何の証拠もなければ、事前に口頭で説明していても「そんなの聞いてない」と言われるかもしれません。
聞いてない? ガーーーン!
そうなれば、成功報酬ももらえないかもしれません。
だから、わたしは「成功報酬に関すること」や「融資金額が分かるものを見せてもらうこと」などを盛り込んだ契約書を事前に交わすようにしております。
契約書のひな型、どこかにある?
わたしが開業したとき、たしか、行政書士会から契約書(行政書士業務委任契約書)のひな型をもらったような記憶があります。
ただ、もう10年以上前のことなので正確には覚えてい・・・
なので、開業する際に、所属する行政書士会に聞いてみるといいでしょう。
あとは、ネットでも「行政書士業務委任契約書」などで検索すると出てきます。
一から作成すると大変ですので、上記のものを利用し、状況に合わせて必要な文言を修正するなどして使用するといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは以下の2点です。
- 報酬はできるだけ高めに設定する
- お金をもらうタイミングを事前に決めておこう
新人が報酬を高めに設定するというのは、何か気が引けるものもあるかもしれません。
開業したばかりで業務の経験も(少)なければ、それも仕方ないですね。
ただし、そんなことは、お客さまにはあまり関係ないと思います。
それならそれで、お客さまとしっかりコミュニケーションをとって、完璧に仕事をこなせばいいだけです。
そのための準備(勉強とホームページ作成)をしっかりやっていきましょう。
一度設定した報酬額を下げることは簡単ですが、上げることは難しいです。
なので、安易に安い金額に設定しないようにしましょう。
おまけ⇒後で催促するのが面倒ならルールを厳しくする
上記で「報酬などをもらうタイミング(わたしの場合)」をご紹介しましたが、10年以上それでやってきて、報酬などをもらいそこねたことは、一度もありません。
自分で決めたルール通りにやって、報酬などをもらいそこねたことはないのですが、ルール通りにやらずに、もらいそこねたことは、実は一度あります。
「お金をもらいそこねていない」という点では、上記でご紹介した「報酬などをもらうタイミング」も悪くはないのだと思います。
しかし、それとは別に「延滞」の問題があります。
「入金までに時間がかかる」ということだね
これはある意味一定の確率で起こることだと思います。
法人だから信用して後払いにしても、実際に動くのは人だからですね。
そこにはいろいろと(延滞する原因が)起こります。
実際、わたしの場合も、「自動車手続き関係」業務なんかで、たまに「延滞」が発生します。
大手のディーラーさんなんかでも、起こるときは普通に起こります。
その場合は催促するのですが、それには次のような行動が必要になります。
自動車手続き関係業務の場合、わたしは請求書の発行日以降に月末を2回過ぎても入金がない場合に、その後すぐに催促するようにしているよ
- 電話をかける
- 請求書(控)をFAXする
- 請求書をもう一度郵送する
請求書、もう一度郵送しろって?!
(ほとんどは上記の1、2で済むが、まれに3を言われることもある)
上記のようなことが1度で済めばまだいい方ですが、ひどいときは、2度3度必要になる場合もごくたまにあります。
「このようなことをできるだけしたくない!」という場合は、自分の「報酬などをもらうタイミング」のルールを厳しく設定するのもひとつでしょう。
売掛金を早期に現金化するには下記のような方法もあります▼