新人行政書士の売上予測|融資が下りた実例と合わせて根拠となる数字を3つご紹介
行政書士として開業する際、日本政策金融公庫などから融資を受けて開業するケースもあるかと思います。
その際、創業計画書の作成・提出が必要になりますが
「はてっ、売上予測ってどうやって立てたらいいんだろう…」
となるかと思います。
わたしもそうだったよ…
そこで、この記事では
- 実際に行政書士開業時に日本政策金融公庫からお金を借りたわたしが
- 行政書士として開業するお客さまの融資獲得をサポートしたわたしが
売上予測の立て方について、実際に融資が下りた例を交えながらご紹介します。
【新人行政書士の売上予測の立て方】融資が下りた実例をご紹介
このケースは、わたしが住んでいる富山県のお隣、石川県で行政書士として開業するお客さまのサポートを2014年ごろにした時のお話です。
希望額140万円に対して満額融資です。
その時、お客さまからいただいた言葉はこちら▼
では、この時、実際に作成した創業計画書の売上高の根拠説明を見てみましょう。
<創業当初>
① 売上高 35.64万円…(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)
インターネット集客をメインと考えている事から、以下の観点から、インターネット集客を分析します。
訪問数×1~2%(問合せ率)×40~50%(受注率)=受注数
ホームページ経由の問合せ率は訪問者数の1~2%で、受注率は案件にもよりますが40~50%くらいとなります。(出典:「行政書士のためのマーケティングマニュアル」 (株)船井総合研究所 経営コンサルタント 黒田 泰)
厳しめで見積もり、上記問合せ率を1%、受注率を40%といたします。
したがって、業務受注数は下記の計算式により見積もりいたします。
訪問数×1%(問合せ率)×40%(受注率)=受注数
なお、訪問数については、ホームページ内に設置するアクセス解析ソフトによって把握することが可能です。
日々、「地域」+「業務特化」に関するコンテンツを充実させていくことにより、検索上位表示およびアクセスアップに励みます。
また、アクセスアップを補完する手段として、ヤフーやグーグルのインターネット広告もあわせて活用していきます。
Ⅰ.会社設立手続き×創業融資申請支援による売上
「石川、金沢などの地名」および「会社設立、株式会社設立、合同会社設立、創業融資、事業計画書作成などの業務に関連する文言」により、最低500の月間訪問数を目指します。
そうすることによって、上記計算式により、月2件、業務を受注することが可能です。
500(訪問数)×1%×40%=2(受注数)
上記により、この業務による売上は下記のようになります。
108,000円(1件平均)×2=216,000円…(ⅰ)
Ⅱ.車庫証明・自動車手続きによる売上
「石川、金沢などの地名」および「行政書士、車庫証明、名義変更、自動車手続きなどの業務に関連する文言」により、最低1,250の月間訪問数を目指します。
そうすることによって、上記計算式により、月5件、業務を受注することが可能です。
1,250(訪問数)×1%×40%=5(受注数)
上記により、この業務による売上は下記のようになります。
10,800円(1件平均)×5=54,000円…(ⅱ)
Ⅲ.相続・遺言手続きによる売上
「石川、金沢などの地名」および「相続手続き、自筆証書遺言、公正証書遺言などの業務に関連する文言」により、最低250の月間訪問数を目指します。
そうすることによって、上記計算式により、月1件、業務を受注することが可能です。
250(訪問数)×1%×40%=1(受注数)
上記により、この業務による売上は下記のようになります。
86,400円(1件平均)×1=86,400円…(ⅲ)
上記が、実際に日本政策金融公庫に提出した創業計画書に記載した売上予測の根拠に関する内容でした。
【出典に関する補足】
上記で引用している出典元は下記になります。
たとえば「○○県」「建設業許可」と検索したとします。そして、自分のサイトが一番上位に表示されて、一日二〇人、月間で六〇〇人の訪問者数があるとします。許認可の場合、おおむね一〇〇人の訪問者のうち一~二%からお問合せがあり、そのうち受注率が四〇%~五〇%前後であるのが、一般的な基準ですから、六〇〇人の訪問者があれば月に六~一二件の電話が鳴り、三~六件の受注が見込める訳です。
【新人行政書士の売上予測】根拠となる数字を3つご紹介
参考にできる数字には下記の3つがあります。
- 小企業の経営指標
- 行政書士実態調査
- 経済センサス-活動調査
小企業の経営指標
「小企業の経営指標」(日本政策金融公庫総合研究所編)で調べることができます。
さまざまな業種のデータが載っておりますが、行政書士事務所に関するデータは下記のところに載っております。
サービス業(他に分類されないもの) > 専門サービス業(他に分類されないもの) > その他の専門サービス業 > 行政書士事務所
平均値を見てみると下記のようになっております。
- 従業者1人当たり売上高 7,410 (千円)
年間の売上高は741万円で、ひと月あたり61.75万円です。
正直なところ、開業直後の行政書士にこれを当てはめるのは、わたしからしたら「ちょっと無理があるかな~」と思ってしまいます。
調査対象数が「11」となっているところから、かなりサンプル数が少ないこともわかります。
なので、これだけをもって売上予測とするには、ちょっと無理がありそうです。
あくまで、ひとつの参考の数字として、とどめておきたいところです。
※上記は掲載時期が2023年2月のデータのものです。
行政書士実態調査
下記ページに日本行政書士会連合会がおこなった行政書士実態調査に関するデータが載っております。
細かい数字を把握することはできませんが、これもひとつの参考です。
経済センサス-活動調査
総務省統計局がおこなう「経済センサス-活動調査」においても行政書士事務所の売上データを知ることができます。
- 出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)
- 【統計名】経済センサス-活動調査 令和3年経済センサス-活動調査 事業所に関する集計産業横断的集計 売上(収入)金額等
- 【表番号】7-1
- 【表題】産業(小分類)、従業者規模(7区分)別民営事業所数、従業者数、売上(収入)金額、1事業所当たり従業者数、1事業所当たり売上(収入)金額及び従業者1人当たり売上(収入)金額(外国の会社及び法人でない団体を除く)-全国
下記の数字あたりが参考になりそうです。
- すべての事業所を対象とした「従業者1人当たり売上(収入)金額」…466万円
- 従業員数1~4人の事業所を対象とした「従業者1人当たり売上(収入)金額」…410万円
新人行政書士の売上予測を見る数字としては、このあたりが一番現実的で使いやすい数字かもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
- わたしが実際に依頼を受けた際に作成した創業計画書の実例
- 新人行政書士の売上予測に使えそうな数字を3つ
ご紹介しました。
上記を見てみると、新人行政書士の売上予測としては、だいたい年400万ちょっとぐらいが妥当な線として見えてきますよね…
ただし、これもひとつの参考ね…
自分の思い描く予想と、上記などの参考となる数字を使って、いろいろな角度から売上を予測することが大切です。
それが、開業後の実際の事業運営や開業前の融資の場面において役に立ちます。