行政書士は時には仕事を断ることも大切|その判断をするポイントは?
「合わない人からの依頼は断ってもOK。合わないかどうか判断するポイントは?」
開業したての頃はどんな依頼でもいいので受けたいと思っている頃。
でも、ちょっと待ってください。
なかには、あまりかかわりたくないような人もいらっしゃいます。
そのあたりを、10年以上行政書士を続けているわたしが、自身の体験談も交えてご紹介します。
だれかれ構わず仕事を受けていると大変な目に合うかもよ!
合わない人とかかわると大変
合わない人とかかわると大変になる場合があります。
業務を完了させるのに、通常以上の手間や時間がかかったりします。
せっかく行政書士として一国一城の主となったんですから、わずらわしい人間関係には振り回されたくないですよね。
そういう人に限って、
- 仕事がスムーズに進まなかったり
- 必要以上の仕事をさせられたり
- 金払いが悪かったり
します。
なので、そういう人とはできるだけかかわりたくはありません。
合わない人かどうかは早めに判断したほうがいい
ホームページを集客に使っていると、依頼は通常、電話かメールできます。
合わない人とかかわらないためには、最初にきた電話・メールの(できるだけ)早い段階で断るのが望ましいです。
やり取りが進んでからでは断りにくくなりますし、相手の人にとっても「なにをいまさら・・・」となってしまいます。
合わない人かどうかを判断する際に使えるテクニック
早めに判断したほうがいいと言っても、「そんなの、(電話の場合は)早めに判断するのは難しいよ」という場合もあると思います。
そのような場合に使えるテクニックをひとつご紹介します。
メールでの問い合わせの場合にはじっくり考えてから返信することができますが、電話の場合はそうはいきません。
話がずっとつながっているからですね。
「ちょっと確認しますのでお待ちください」と一旦会話を中断する
そのような場合は、相手からの問い合わせに対して「ちょっと確認しますのでお待ちください」などと言い、一旦会話を中断するといいでしょう。
そのあいだに少しは冷静に判断する状態をつくれます。
また、かかってきた電話番号をネット検索することにより、相手の素性を確認したりすることもできます。
合わない人かどうか見分けるポイント
合わない人かどうかを見極める際のポイントについてご紹介します。
ただし、これは完全なわたしの個人的な考えになりますので、参考までにご覧ください。
また、細かいニュアンスまでは伝えきれません。
あらかじめご了承ください。
- 前提として、依頼を真剣に検討している人の口調(またはメール)は丁寧で穏やか
- 会話が始まったとたんに費用について聞いてくる人は依頼にならない
- 電話のはじめに名前を名乗らない人も依頼にはつながりにくい
ひとつずつ見ていきます。
前提として、依頼を真剣に検討している人の口調(またはメール)は丁寧で穏やか
依頼を前提として電話をかけてきている人の口調は、基本的に丁寧で穏やかです。
これは自分(わたし)の場合に置き換えても当てはまります。
「この人にお願いしたい」と思ったら、やはりその相手には、自分のことを気に入ってもらおうと丁寧な口調になります。
また、電話の最初に「どこどこのだれだれです」などというように、しっかりと自分の名前も名乗るでしょう。
このような場合は、基本的には問題ありません。
たとえ依頼につながらなかったとしても、それはそれでいいのではないでしょうか。
会話が始まったとたんに費用について聞いてくる人は依頼にならない
このような人はただ単に金額が知りたいだけです。
いろいろな事務所に電話しまくって、いちばん安くやってくれる行政書士に頼むだけです。
このような人は相手にしなくていいでしょう。
依頼になることはほぼありません(安さを売りにする場合は別ですが)。
安さを売りにする場合は大量集客、大量処理しなければならない。新人行政書士にそんなことできるの?・・・
また、仮に依頼になったとしても、このような人の依頼をするのは怖いです。
何か想定外のことがあって別途費用がかかることになっても、簡単に請求できません。
結局こっちが我慢して、最初に提示した安い金額で最後までやりきらなければならなくなる可能性を感じます。
わたしは、このような問い合わせに対しては「今、ほかの依頼でいっぱいですので、金額をご案内してもどっちみち受けられませんので・・・」とすぐに断るようにしております。
【追記】
会話が始まって早い段階で費用の話になっても
- その人の口調が丁寧・穏やかで
- 電話のはじめに会社名(店舗名)だけでなく、個人の名前も名乗った
場合は、依頼につながる可能性あるかもです。
電話のはじめに名前を名乗らない人も依頼にはつながりにくい
上記でも書きましたが、真剣に依頼を検討している人は電話のはじめにちゃんと名前を名乗る人が多いです。
なので、電話のはじめに名前を名乗らない人の場合、依頼にはつながりにくいです。
どちらかというと、「ちょっと聞きたいだけ」という感じの人が多いね・・・
これまた、自分に置き換えてみても、なんとなく理解できるかと思います。
ちょっと聞きたいだけのところには、あまり気をつかって電話しないですよね。
なので、わたしは、はじめに名前を名乗らない人からの電話には、あまり対応しないようにしております。
ただし、このタイプの人すべてが依頼にならないかというと、そうでもありません。
はじめに名前を名乗らないけど、依頼を考えている人はある程度いらっしゃるかと思います(報酬額など条件にもよるとは思いますが)。
一般の個人の方の中には、名乗らない方も、まあまあいるかも・・・
でも、わたしは、このような人の依頼を受けるのにはやはり消極的になります(お話を重ねてみて最終的には受ける場合もありますが)。
どこの誰だかわからないからですね。
話を進めるのがちょっと怖くなってしまいます。
そのほかの判断ポイント
ほかにも、電話をかけてきた人が下記のような場合は、わたしはすぐに電話を切るようにしております。
- 口調が乱暴な人
- 言葉遣いがビジネスのものとかけ離れている人
- 高圧的な話し方・態度をされる人
- いい加減なことや無責任・不誠実なことを言われる人
- 費用に関する話を誠実にしようとしない人
- 根拠のない値下げを要求する人
- 話がかみ合わない人
- わたしの話を聞こうとしない人
- 手続きの内容などについて話が聞けない人
- 手続きに協力する姿勢が見られない人
結構、当たり前のことが多いですね。
はじめのうちは気にせず、いろいろな人の依頼を受けていってもいいかも
上記でいろいろ書きましたが、開業したばかりの新人行政書士にとっては、電話をかけてきた相手がどのような人かなんてのは、判断つきにくいと思います。
また、その(判断する)ポイントも実際のところ、人(行政書士)それぞれでしょう。
なので、はじめのうちは気にせず、いろいろな人からの依頼をどんどん受けていってもいいと思います。
そのなかで、各自で判断していけばいいでしょう。
はじめのうちは売上的にも厳しいしね・・・
わたしも最初はそうでした。
このようなことはあまり気にしておりませんでした。
だけど、だんだんと、こういうことも気にするようになっていきました。
(参考)依頼に応ずる義務
行政書士には「依頼に応ずる義務」というのが法律で定められておりますので、最低限、その存在は意識しておきましょう。
行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
このような規定はありますが、上記で書いたような場合は、依頼を断ってしまっても構わないと思います(依頼というか、上記はまだ問い合わせの段階ですが)。
「信頼関係を築くことができない」「ほかの依頼でいっぱいで受けることができない」などのようなことが、依頼を断る正当な理由になるかと思います。
わたしの体験談(合わない人とかかわって大変でした)
わたしも、合わない人とかかわって大変な目にあったことがあります。
2017年8月のことでした。
「会社の設立に関して相談したい」というような内容でした。
アパート経営をされている方でした。
行政書士では対応できない税金の話に・・・
会社の設立関係の話とともに、税金に関する話にもなりました。
それらは密接にかかわりますので、そのような話になるのは分かります。
しかし、わたしは行政書士ですので、仕事として人に説明できるほどの税務に関する知識は持ち合わせておりません。
また、税理士法に抵触する可能性もあります。
うかつに税金の話などできません。
税理士さんを紹介しようとしたところ、面談日時の調整や面談に同席を求められることに・・・
なので、知り合いの税理士さんを紹介し、「もしよかったら、こちらの方に相談してみてください」とご案内しようとしたところ、わたしにも同席してほしいとのこと。
しかも、「その日時の調整もしてくれ」とのこと。
なんでわたしが、そこまでしなきゃならないんだ!
わたしとしては、税理士さんを紹介し、事前にその税理士さんに「こうこうこういう方からそちらに電話が入るかもしれません」と事前に連絡をしておくというぐらいしか想定しておりませんでした。
なので、意外でした。
結局、依頼人と税理士さんのあいだに入って面談日時を調整し、後日、その面談にも同席しました。
「わたしがこの場にいてもしょうがないのに・・・」と思いながら。
その税理士さんの仕事につながることもなく、税理士さんにもお手数をかけてしまいました(無料対応)。
この件でわたしが依頼人からいただいた報酬は、最初の面談時の4,000円だけ(当時は10分1,000円で有料面談していた)。
その後、サービス(無料)で依頼人と税理士さんの面談日時の調整、面談時の同席をさせられる結果となりました。
まぁ別にいいんですよ。
たいしたことしてませんから。
でも、わたしらのような仕事は、意に反して無料で拘束されるだけで、それだけで損失なんですよね。
その間にできる仕事ができないからね・・・
もし今後、同じようなことがあったら、キッパリと断ろうと思ったできごとでした。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは以下の2点です。
- 合わない人とかかわると大変
- 合わない人かどうか、自分なりの判断基準を持とう
わたしも、自分なりの判断基準をもって、日々業務にあたっております。
そのつもりですが、短い時間(電話)の間で、それを正確に判断するのは、行政書士を10年以上やってきた今でも、難しいと感じております。
時には、「あの電話、断ってしまったけど、正解だったかな・・・」と、電話が終わったあとに思うことも、実はまあまああります。
仕事の見込みがきておきながら断るのはつらいもんね・・・(実際に仕事になったかどうかは後になっては分からないが)
単に料金に関する問い合わせでも、「今回はもしかしたら依頼につながるんじゃないか」と思い、自分の中の基準を少しゆるくし、(電話口で)感じのいい人にはご案内したりしてきました。
だけど、それを繰り返してみても、やはり仕事には、ほとんどつながっていないイメージです。
それで、最終的に、上記で書いたように「会話が始まったとたんに費用について聞いてくる人は依頼にならない」という結論に達したわけです。
- 仕事は欲しい
- でも、合わない人とは付き合いたくない
常にその葛藤はありますよね。
だからこそ、いざというときにできるだけ適切な判断ができるよう、自分なりの「仕事を受ける・受けない」の基準となる軸を、業務を行っていく中で見つけていくようにしましょう。